vol.17_認知症の進行速度低下には運動と、好きなもの

vol.17_認知症の進行速度低下には運動と、好きなもの

こんにちは。

Bijo-Labo総合プロデューサーの野本麻紀子です。

今回は認知症と運動の関係についてです。

これを読んでくださっている方ご自身はまだまだ先の話かもしれませんが、ご両親世代は認知症を警戒したり、少し始まったかも?という方も多いのではないでしょうか。

認知症に運動が効果的かどうかについて、いろんな懐疑的な学説があるものの、運動が効果的であるという沢山のエビデンスはあります。

2012年にピッツバーグ大学のカークエリクソン教授が発表した研究では、まだ認知症を発症していない、運動習慣のあまりない55~80歳の120人の男女を「ストレッチだけをするグループと「週3回、各40分ウォーキングをするグループ」に分けて、1年間観察しました。

すると、ウォーキンググループは、海馬の容積が2%アップし、ストレッチだけのグループは1.4%減少という研究データが出ました


海馬は記憶をつかさどる部分なので、アルツハイマーを発症すると初めに病変がみられる部分です。

なので、このデータは、とても運動の有効性についてわかりやすく結果が出ました。


また、イリノイ大学では過去40年の研究データを再検討した結果、加齢が原因の脳機能、認知機能の低下は、有酸素運動をすることで低下速度を落とし、脳の可塑性の維持につながったことを報告しました。

具体的には週3回15~30分の運動を行う65歳以上の男女の脳の変動を見る実験結果です。

これにより、遺伝的にアルツハイマーになりやすい傾向を持つ人でも運動により罹患の可能性をかなり高確率で下げられるということがわかりました。


今年亡くなった私の義母は10年ほど前から認知症を患っていたのですが、確かに週に5回ストレッチ教室に通って、自分なりに健康を意識した生活をしていました。

でも、あっさり認知症になってしまい、ずんずん症状が進んでしまいました。


義母が週5行っていたのがストレッチではなくウォーキングだったらまだ今も元気だったかなと悔やまれますが。。


普段は大阪で暮らしていましたが、この10年で2度ほど私のうちに遊びに来てくれたことがあり、その時に一度私のジムにご招待しました。

当時もう80代で、しかも日常的に運動をしない暮らしを送っているので、当然運動強度はごく緩いものにして、有酸素運動5割、筋トレ5割くらいの割合で種目を組みました。

1時間のトレーニングだったのですが、トレーニングを始めた15分後くらいから明らかに元気になり、ふさぎ込みがちでずっと嘆いていた義母がとってもポジティブになって、きゃっきゃ笑いながら、「こんなの簡単よ!」「私だって10年以上週5のストレッチをしているもの」と言い始めました。

10年以上週5でストレッチは3年前までのことでしたけど、思い出したようです。

1時間のトレーニングを終えたころには、義母は嘘みたいに元気になっていて、さっきまで何も食べたくないと言っていたのに、「美味しい焼肉が食べたい!」と言いました。

嬉しくって一緒に焼肉を食べて、あれこれお話していたら、今度は、「この辺りに可愛い私好みのスニーカーを売っているお店はない?」と言って、認知症になってからずっと忘れていたおしゃれ心まで取り返した瞬間でした。

元々とっても明るくておしゃれな義母だったので、それがすごく私にとってもうれしくて、義母との大切な思い出の一つです。


ちなみにその後また認知症は進みましたが、その日のことは長く覚えてくれていて、とても楽しかったようで何度も「またあなたのお店に行っていい?あの日は最高に楽しかったの」と言ってくれました。


冒頭で、2つの大学の有酸素運動による認知症予防と進行速度低下のデータを出しましたが、実は、筋力トレーニングによる認知症の進行速度低下や予防のエビデンスはありません。


でも、私は義母のその瞬間のすごい変化を見てしまったので、絶対に関係があると思うんですよね。

もちろんきっちりエビデンスのある有酸素運動は欠かさず、強度の強すぎない筋トレもとても有効のような気がします。


また、少し視点が変わるのですが、先ほど少し書いたように義母は元々とてもおしゃれな人でした。いつ会ってもかっこいいベリーショートで、質の良い品の良いニットとワイドパンツで大振りのシルバーアクセサリーをつけて、本当にカッコいいばあさんでした。

食べることやおしゃれなご飯屋さんも大好きで、とってもふくよかでした。

暮らしも隅々こだわりのある人だったのですが、認知症の症状が進むにつれ、おしゃれ心を失い、一緒に運動をした日から3年後に再会した時には丸々した体は鶏ガラのようにやせ細って、大阪から東京までパジャマでやってきました。


その時は数か月私の家にいたのですが、私はできるだけ義母が健康だった頃に好きだった大振りのイヤリングを身に着け、義母の目を引きそうな明るいカラーの洋服を着て、義母のランチや夕飯は、義母の好きそうなお洒落なお皿を使って盛り付けはいつもの10倍くらいこだわりました。

その頃の義母は自分の息子すらも忘れるほど進行していたので、通じるかはわからなかったけど、続けていました。

効果は案外早く出てきて、うちに来た3日後に、まず私のピンクの麻のスカートを「それ、可愛いわねぁ~私も若かったらそんなの着たかったわ」と目をハートにして褒めてくれました。

ランチにイクラやエビを使って可愛く飾ったいなり寿司を出すと、「まぁ可愛い~お皿もよいわね!イッタラね!!」と子供みたいにはしゃいで喜んでくれました。

それからはイヤリングを褒めてくれたり、私も着けたいとおねだりしたり、私のKRUZINのスニーカーと同じものが欲しいと言ってくれたり、ピンクのスカート今日も履きなさいよ!なんていうこともありました。


なので、私は、手先を使う折り紙なんかも良いと言われるけれど、元気だったころに本人が興味関心のあったものを沢山散りばめられるとすごく良いのではないかと思います。

これに関しては私の実感以外になんのエビデンスもないのですが、ブログという性質上書かせていただきました。


また改めて認知症に良い食事などについても触れたいと思います。

認知症まだまだ!!と思う方もこころのほんの片隅にぜひ運動と好きだったものと覚えておいてください!

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